詐欺被害者はさらなる詐欺のターゲットになる
一度でも詐欺や悪徳商法の被害に遭うべきでない最大の理由がこれです。
普通、詐欺や悪徳商法の被害に遭えば、次は騙されまいと思うものです。あるいは、「一度騙されたのだから、二度目はそうそうないだろう」とも思いがちです。ですが詐欺師や悪徳業者たちは、そんな被害者の心理にも容赦なく付け入ってきます。「一度目」があったから、「二度目」どころか、「三度目」「四度目」だってありえる、というのが詐欺の手口です。
私が被害に遭ったふたつの詐欺事件は、まったくの無関係ではありませんでした。高額商品を買わされるという詐欺に遭い、その損害を取り戻したいという心理を巧みに煽られ、さらに弁護士を騙る詐欺師に大金を騙し取られるという結果になりました。
まるで、死者に鞭打つようなことが、詐欺や悪徳業者の世界ではごく普通のこととしてまかり通っているのです。
詐欺師や悪徳業者は、常に騙されやすそうな人を探しています。騙した人の情報を、仲間内で交換しあっているという話も聞きます。本当に酷い話ですが、詐欺師や悪徳業者の立場からすれば、「騙しやすい人」という情報は、何よりもありがたいものでしょう。
一度騙されたというレッテルは、詐欺師や悪徳業者たちにとっては「騙しやすい」と同義です。手当たり次第にターゲットを探すよりは、一度騙された人を試すほうが、よほど成功の確率が高い、ということでもあります。
また、一度詐欺の被害に遭ってしまうと、そのことへの恥ずかしさから、ますます孤立していく傾向があります。
これは、私がまさにこのケースだったのでよくわかるのですが、騙されたという事実が心を萎縮させ、誰かに相談するといった選択肢を取らせなくしてしまうのです。結果としては、それが被害者をますます泥沼にはめていくことになるのですが、そうした負の連鎖が起こりやすくなるというのは、まぎれもない事実です。
大切なお金を失い、他人に対する不審に駆られ、恥と罪の意識にさいなまれ、当然プライドはズタズタ、そのうえさらに、詐欺師や悪徳業者たちには「チョロい相手」として、さらなる詐欺のターゲットにされてしまう。まさに悪いことずくめで何ひとつ良いことなどありません。
詐欺や悪徳業者の被害に遭うということは、貴方が思っている以上に深刻なことであると判っていただければと思います。