お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

騙り調査について

オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺の手口、それも、高齢者をターゲットとした手口について、年々その多様化、巧妙化、組織化が進んでいるという話をよく聞きます。そして、その高度な詐欺のテクニックを支えているもののひとつに、ターゲットの詳細な個人情報をつかんでいる、というのがあります。

たとえば、「オレオレ詐欺」の場合、もはや「オレオレ母さん、オレだけど」といった切り口ではなく、詐欺集団はすでにターゲットの息子や娘の名前、職業、携帯番号などをすべて把握したうえで、巧妙な詐欺を仕掛けるパターンが多くなっています。

こうした詳細な情報があるのとないのとでは、詐欺の成功率が大きく異なってくるというのは、素人でもわかることですが、このような個人情報や家族情報がどこからどうやって漏れているのかについては、その一端が明らかになっています。

それは、じっさいの詐欺の前段階に行なわれる「騙り調査」と呼ばれるものです。

騙り調査とは、たとえば国勢調査の調査員や、統計調査の関係者、あるいは地元警察による防犯のための調査などを装って、ターゲットの自宅に電話をかけ、住居形態や独り身かどうか、金融資産の保管状況や相談相手がいるかどうかといった個人情報を聞き出すものです。

電話の相手は公的機関の名を騙り、いかにもターゲットを心配するような体で(「こんな不安はありませんか?」など)訊いてくるため、ともするとそれが自身の情報漏えいにつながっているとさえ気づかないこともあります。

この騙り調査は、詐欺の実行犯が直接行なうこともありますが、大半はそれを専門とする業者か、あるいは詐欺用の名簿を商売のタネとする「名簿屋」が、特殊詐欺を行なう組織の要望を受けて調査しているといいます。

つまり、この騙り調査は、詐欺の実行グループとは直接的なつながりをもたない場合が多いのです。そして、それゆえにやっかいなものだとも言えます。なぜなら、騙り調査だけでは実害がなく、なかなか警戒心を起こしにくいものだからです。

さらに言うなら、こうして集められた個人情報は、詐欺師たちにとってはターゲットを選定するための情報としても活用されていきます。

たとえば、「オレオレ詐欺」における集金手段は、今は口座振込によるものよりも、手渡しによるものや、宅配便といった手段へと移行しつつありますが、そのさいに重要となるのは、自宅にタンス預金があるかどうか、という情報です。なぜなら、お金をもってはいても、それが銀行預金になっていると、銀行で引き落とすさいに銀行側が特殊詐欺を疑い、それを相手に通知するという指導が、今では徹底されており、詐欺の成功率が下がるからです。

詐欺師にとって、自宅にタンス預金があるかどうかの情報があらかじめわかっていれば、そうした危険を避けることは容易です。そこに、独居老人であるとか、身内が近くにいないとか、判断力が低下傾向にあるとか、さらには一度詐欺や悪徳商法に騙されたことがある、といった情報が付け加われば、かなりの高確率で、詐欺師からは「カモ」だと見なされることになります。

騙り調査の発達は、当然詐欺の高度化にもつながります。逆に言えば、特殊詐欺が仕掛けられるのは、それが成功の確率が高いという確信があってのこと、ということになります。

このブログで提唱している「ノット・ファースト・コミットメント」は、相手に対する「コミットメント」をその場で与えないという心構えのことですが、それは騙り調査についても有効です。

sagi-zero.hatenablog.com

というよりも、この騙り調査にひっかかり、自分の情報が詐欺集団の「カモリスト」として利用されるという展開は、なんとしても避けたいところです。

たとえ公的機関を名乗っていても、安易に個人情報を見知らぬ人に教えることは、いったんは避けるべきだということ、必要であれば、こちらから公的機関にかけなおすくらいの心構えを忘れないようにしてください。それが結果として、あなたの大切なお金を詐欺や悪徳商法から守ることにつながります。