お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

詐欺だとわかってもお金を振り込んでしまう心理

前回のエントリーでは、「劇場型」と呼ばれる振り込め詐欺の典型的な手口である「三役系」のシナリオを紹介しました。そしてそこで、この手の詐欺行為の本質が、ターゲットに対する「脅迫行為」に該当するものであることも書きました。

sagi-zero.hatenablog.com

言ってしまえば、この詐欺によってターゲットに突きつけられるのは、「お金を払う」か「家族の社会的信用を失墜させるか」の二者択一になる、ということです。このある意味で究極の選択は、詐欺グループの演技にすっかり騙されてしまっているターゲットにとって、冷静な判断力を奪うものであることは、言うまでもありません。

続きを読む

「劇場型」詐欺シナリオの定番

振り込め詐欺について調べていると、よく「劇場型」という言葉と出くわします。

これは、複数の詐欺師がそれぞれ役割を演じることで、より臨場感を出すような詐欺の手口のひとつで、ターゲットの心理をかく乱し、より効果的に追い詰めることを目的としています。

警視庁のホームページでは、こうした「劇場型」によるオレオレ詐欺が最近の傾向だと書かれていますが、詐欺グループのなかでは、もはや古典的と言えるものになっています。

劇場型詐欺は、詐欺師がまるで劇団員であるかのごとく、それぞれの役割を演じ切るところからつけられた名称ですが、そこにはターゲットを心理的に追い込むための「シナリオ」も、あらかじめ用意されています。

続きを読む

騙り調査について

オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺の手口、それも、高齢者をターゲットとした手口について、年々その多様化、巧妙化、組織化が進んでいるという話をよく聞きます。そして、その高度な詐欺のテクニックを支えているもののひとつに、ターゲットの詳細な個人情報をつかんでいる、というのがあります。

たとえば、「オレオレ詐欺」の場合、もはや「オレオレ母さん、オレだけど」といった切り口ではなく、詐欺集団はすでにターゲットの息子や娘の名前、職業、携帯番号などをすべて把握したうえで、巧妙な詐欺を仕掛けるパターンが多くなっています。

こうした詳細な情報があるのとないのとでは、詐欺の成功率が大きく異なってくるというのは、素人でもわかることですが、このような個人情報や家族情報がどこからどうやって漏れているのかについては、その一端が明らかになっています。

続きを読む

「断る力」に大いに学べ

勝間和代氏の『断る力』という本があります。

これは、他人や組織に無理やり自分を合わせようとするのをやめ、意にそまない仕事や頼まれ事についてはきっぱりと「断る」ことを推奨する本ですが、たんに嫌なことをはねつければいい、ということではありません。

「断る力」の根本にあるのは、「人の言いなりになってはいけない」という精神です。人から何かを頼まれる。それをこなすと喜ばれる。それはたしかに大切なことなのですが、それは同時に、自分の人生を行き当たりばったりにすることであり、自分の生き方を他人に委ねることにもなってしまう、という警告があるのです。

続きを読む

フードファディズムについて

以前、テレビ番組で「納豆」が体にいいとか、「バナナ」で簡単にダイエットができると放送されたせいで、一時期納豆やバナナが品薄になったことがあります。

私はどちらも定期的に食べていただけに、それまで普通に売られていたものが急に品切れになって、ずいぶんと困惑したものですが、こうした食べ物やそれに含まれる栄養素が人間の体にもたらす効果について、サプリメントをはじめとする食品の売上をあげるために過剰に宣伝されているのではないか、ということは、以前から感じていたことでした。

togetter.com

続きを読む

ア・タ・リ・マ・エの原理と「カチッ・サー」

特殊詐欺(「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など、一連の振り込め系詐欺)の被害、とくに老齢者の老後資金をターゲットにした詐欺被害の増加を受けて、警視庁は東京都や各企業、団体と連携し、「特殊詐欺根絶アクションプログラム・東京」というプログラムを開始しています。

特殊詐欺アクションプログラム・東京

特殊詐欺に騙されやすい親・祖父母をもつ現役世代、つまり息子や孫にあたる人たちに対して、特殊詐欺がどのようにして行なわれるのか、その被害に遭ってしまう本当の原因は何なのか、といったことの理解を深め、親や祖父母がそうした被害に遭わないようにするための簡単な電話訓練を講習するものです。

続きを読む

被害者を責める人の心理

詐欺の被害に遭ったとき、人は必要以上に自分を責めるものだということは、じっさいに詐欺の被害者となった経験のある自分自身がよく理解していることですが、それ以上に、詐欺の被害に遭った人に対して、それとは無関係の人たちまでもが必要以上に彼を責め立てるような態度をとることがある、という点に、私は強い憤りを感じずにはいられません。

sagi-zero.hatenablog.com

なぜ、詐欺行為をはたらいた加害者ではなく、被害者のほうを責めるようなことをするのか、なぜ被害者のほうに過失があるかのように考えてしまうのか、ということについて、私は今まであまり深くは考えてはきませんでした。それよりも、いかに人がたやすく騙されてしまうのか、いかに他人の言動に影響されてしまうのか、という心理のほうにこそ興味があったし、それを知ることで、いかに詐欺や悪徳商法から身を守るべきかのほうが、ずっと重要なことだったからです。

続きを読む