お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

騙されるほうが悪いのか?

NHKの「クローズアップ現代」という番組で、2015年2月19日に「詐欺被害者 閉ざされた苦悩」というタイトルで、振り込め詐欺の被害者についての特集が放送されました。

www.nhk.or.jp

この手の特殊詐欺は、年々その手口が巧妙になっていて、見ていた私も「これは自分も騙されるかもしれない」と思えるものがありました。

その一方で、これほど巧妙な手口を見せつけられてもなお、詐欺師にではなく、詐欺に遭った人への非難の声が挙がるという事実に愕然とさせられます。

はたして、騙されるほうに落ち度があるのでしょうか?

そんなわけありません。
悪いのは100%、騙す方です。

たとえば、古物鑑定の世界では、贋作を贋作と見抜けない方が未熟だという風潮があります。騙されたほうは「目利き」としての腕を疑われても仕方がない、というのが古物鑑定の世界です。

しかし、私たちは詐欺行為にかんする「目利き」などではありませんし、それを目指しているわけでもありません。ただあたり前の、幸福で平穏な人生を望む普通の人でしかありません。

詐欺師は人の心につけこむプロです。そしてその手法の原点にあるのは、反射作用を利用するというものです。

反射作用とは、たとえば目の前にボールが飛んできたときに、とっさに目をつぶったり、両手を前に差し出して顔を守るとかいった、考える以前に体のほうが起こしてしまう行動のことです。

これは、かつて原始的な動物であったころの私たちが、数々の危険から身を守るために何万年という歳月をかけて遺伝子に刻み込んできたもので、頭で考えて制御できるものではありません。

詐欺師たちは、この反射作用に訴えるのがじつに巧みです。時と場合によっては、私たちだけでなく、特殊詐欺を専門としている刑事や、悪徳商法の手法を調べつくし、それをノンフィクションとして執筆していた作家でさえ、まんまと騙されてしまうことがある、というのが現実です。

いくら詐欺に関する知識が豊富にあっても、反射作用に逆らうのは非常に困難です。そしてそれは、騙された方の責任ではありません。人間がまだ動物だった頃の名残を、うまく利用されたにすぎないということを、ぜひ覚えていてほしいのです。