お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

「ファースト・コミットメント」の定義

このブログでは、「ノット・ファースト・コミットメント」という詐欺対策を推奨していますが、そもそも何をもって「ファースト・コミットメント」とするのか、「ファースト・コミットメント」とはどういう状況を指すのかをここでは説明します。

そのために、この「ファースト・コミットメント」の概念を、大きく広義の「ファースト・コミットメント」と、狭義の「ファースト・コミットメント」のふたつに分類したいと思います。

「コミットメント」とは、自分から相手に与える了承や承諾のことですが、こと詐欺や悪徳商法に対する「コミットメント」は、こちらからは絶対に与えてはならないという鉄則を守ることで、詐欺被害から身を守るための方法としています。ゆえに、理論的なことを言うなら、広義の「ファースト・コミットメント」とは、「詐欺師や悪徳業者からの最初のアプローチ」を指すことになります。たとえば、電話や郵便、電子メールや家への直接訪問、あるいは街頭での声かけといった、相手側の最初の一手のことです。

たしかに、この最初のアプローチを受け付けさえしなければ、詐欺の被害に遭うことはなくなります。ですが、詐欺師や悪徳業者が、最初から自分が「詐欺師」「悪徳業者」だと名乗りをあげるわけではありません。またマルチ商法のように、かつての友人や知人がアプローチしてきたり、デート商法のように、最初はあくまで好意をもった第三者として、フレンドリーな態度で接近してきたりすることもありえます。騙す側としては、最初のアプローチで警戒されては元も子もないわけで、ある意味で当然のことだ言えます。

広義の「ファースト・コミットメント」は、相手に与えないようにするのはなかなか難しいものがあります。それ以前に、私たちの日常生活には、あらゆる方面の他者からのアプローチが存在します。それらのすべてをシャットダウンしてしまっては、私たちの日常生活はまともに機能しなくなってしまいます。

もっとも、私みたいに詐欺や悪徳商法でさんざん痛い目に遭ってきた場合、それらの経験や体験がある種の直感となって、広義の「ファースト・コミットメント」の段階で「なんかヤバイ」という信号が、何らかの体の不調をともなって表れてくる、といったことが起こったりしますが、これは特殊な例でしょう(そして、それに頼り切ってしまうことが、新たな隙をつくってしまったりもするのですが)。

そこで、仮に広義の「ファースト・コミットメント」を与えてしまっても、最終防衛ラインだけは死守すればいい、という意味で、狭義の「ファースト・コミットメント」を定義します。

それは、「直接的、あるいは間接的に金銭に絡む何らかの約束事」です。

ここで注意してもらいたいのは、「金銭に絡む何らかの約束事」とは、かならずしも直接的な金銭のやりとりを要求されることだけを指すのではない、という点です。振り込め詐欺などのパターンはわりとわかりやすいのですが、還付金詐欺や、「お金を貸します」といった融資保証金詐欺など、逆のパターンもこのなかに含まれます。

「払いすぎた税金が戻ってきます」「かならず儲かります」「あなただけに教えるお得な情報です」といったアプローチもまた、狭義の「ファースト・コミットメント」として定義する、ということです。なぜなら、それらの言葉は詐欺師にとって、「お金をくれ」と同義だからです。

言い換えれば、儲け話一般をすべて狭義の「ファースト・コミットメント」とすることで、そうした詐欺被害に遭うのを未然に防ぐことを意図しています。また、ATMなどの装置で何らかの指示をさせることや、クレジットカードの番号やパスワードなど、間接的に金銭に絡むような情報を要求してくる案件も、狭義の「ファースト・コミットメント」とします。

最低でも狭義の「ファースト・コミットメント」、つまりは払うにしろ、もらうにしろ、お金絡みの話になったときには、けっしてその場でコミットメントを相手に与えない、与える前にかならず一歩引いて、考える時間をつくるということを心がけるようにしてください。