お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

オレオレ詐欺

家族を装って相手を騙し、現金を口座に振り込むよう要求したりするこの手の詐欺は、「オレだけど……大変なことになった」という第一声から、かつては「オレオレ詐欺」と呼ばれていました。その後、手口の多様化で名称と実態が合わなくなったということで、「特殊詐欺」の四つの型のひとつとして、「成りすまし詐欺」という名称が一般的になってきましたが、このブログではもっともわかりやすく、認知のある「オレオレ詐欺」で統一します。

この名称問題については、その後も「母さん助けて詐欺」「ニセ電話詐欺」等、名称が統一していないのが現実で、それだけこの手の詐欺の巧妙化、多様化、悪質さを物語っているとも言えます。

以下の警視庁サイトで、「オレオレ詐欺」の再現音声を聴くことが可能です。その手口の巧妙さの一端をうかがい知ることができます。

あなたは見破れますか?振り込め詐欺のテクニック

警察やメディアによる周知が大きく展開されているため、広く世に知られるようになった特殊詐欺でもありますが、警視庁ホームページによる「オレオレ詐欺」の被害状況は、平成26年で5,557件、被害額は約174億9,028万円と、年々増加傾向にあり、いまだに多くの被害が出ているというのが実状です。

じつはこの「オレオレ詐欺」、広義と狭義の「ノット・ファースト・コミットメント」という詐欺対策にはうってつけのパターンだったりします。

オレオレ詐欺」の手口のほとんどが、相手の固定電話への一報を最初の一手としていることがその要因です(ごくまれに、はがきなどの文書の場合もありますが)。ゆえに、たとえば固定電話の機能を使って、見知らぬ電話番号や非通知の電話にはそもそも出ないようにするという対策をとることが可能なのです。

逆に、そうした電話に出てしまうと、巧みな話術や脅迫めいた臨場感などから、つい個人情報を提供してしまう危険性もあるため、そもそも相手からの最初のアプローチを潰す広義の「ファースト・コミットメント」を防ぐ方向を強化したほうが無難です。

最近では、特殊詐欺対策の電話や対策機器が売り出されていたり、あるいは市役所からそうした機器を無料で貸与することも可能だったりするので、まずはそうした手を打つことを考えましょう。

もちろん、そうした対策をすり抜けてくるものもあります。この手の詐欺は、手口の巧妙化が進んでいて、家族の電話番号や家族構成といった情報をつかんだうえで、組織だって仕掛けてくることもあるので、油断はできません。

また、何らかの形で個人情報が漏れていると、固定電話ではなく携帯電話のほうにいきなりかかってくることも予想されます。

ただ、狭義の「ファースト・コミットメント」である「直接的、あるいは間接的に金銭に絡む何らかの約束事」の要求が、この手の詐欺は比較的ストレートです。「ATMにお金を振り込んで欲しい」「親友がそっちに行くから、現金を渡して欲しい」――どんなに心が動揺していても、あるいは「絶対に本当のことだ」と信じてしまっても、そうした金銭の絡むコミットメントには、絶対にその場で承諾してはいけないという一点さえ死守するように心がければ、あとはいくらでも対応のしようはあります。なにせ相手は、電話の向こう側にしかいないのですから。

「ノット・ファースト・コミットメント」という詐欺対策は、何より「ここだけは死守する」という線引きをすることで心に余裕を取り戻し、警視庁などが推奨する詐欺対策へと速やかに移行するための手段です。