お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

還付金詐欺

この手の詐欺は、「オレオレ詐欺」と同じく「振り込め詐欺」の一種として警視庁で定義されています。税務署職員や社会保険事務所職員などを装い、何らかの還付金が戻ってくると相手を騙し、そのままATMなどに誘導して、犯人の口座にお金を振り込んでしまうというのが、還付金詐欺の手口です。

こうして説明してみると、被害者にさせていることは「オレオレ詐欺」とまったく同じです。違いは、お金を支払わせる方向ではなく、お金がもらえるという方向で相手を騙しているという点です。ふつうに考えれば、お金がもらえるはずなのになぜ相手の口座にお金を振り込むことになるのか、という疑問が出てくるのですが、そのあたりは相手の巧みな口調についつい騙されてしまうのです。還付金返済にかんして、相手が無知であることを前提としているため、多少不審な点があっても信じてしまうところもあります。

警視庁ホームページによる「還付金詐欺」の被害状況は、平成26年で1,928件、被害額は約19億9,165万円。平成20年の4,539件と比べると、被害件数は減少していますが、ここ数年で被害件数が少しずつ増加傾向にあり、油断はできません。

還付金詐欺オレオレ詐欺と同様、最初の一手は固定電話です。また、オレオレ詐欺の場合は、家族を装う手口のため、携帯電話にかかってきても当然と思い込んでしまいますが、還付金詐欺については、見知らぬ人からのアプローチを装うため、携帯電話にいきなりかかってくる、ということはまずありえないと言えます。

ゆえに、オレオレ詐欺と同じく、広義の「ファースト・コミットメント」を与えないための対策が有効になります。知らない電話番号、非通知の電話には出ないようにすることです。
また、狭義の「ファースト・コミットメント」についても、比較的明確です。「還付金が戻ってくるので、ATMに行ってください」というのは、オレオレ詐欺とはベクトルが正反対ですが、狭義の「ファースト・コミットメント」である「直接的、あるいは間接的に金銭に絡む何らかの約束事」をさせようとするものです。

たとえ、本当に還付金が戻ってくると信じたとしても、あるいは「期限が今日までだから」と急かされても、絶対にその場でコミットメントを与えてはいけません。一度電話を切って、冷静になりましょう。もし、それで還付金を逃したとしても、今のあなたはいっさい損をしない、ということを意識してください。

じつを言えば、還付金詐欺の最大の対策は「正しい知識を知ること」です。還付金にはさまざまな種類がありますが、本当に何らかの還付金がある場合、書面による郵送があるのが大原則です。手続きとしては、書面に必要事項を書き込んで窓口に持参するか、返送して指定した口座に振り込んでもらう、というものになります。還付金手続きをATM操作で行なうことは、絶対にありません。逆に、そうした電話があったら、間違いなく詐欺だと思って問題ありません。

ちなみに還付金詐欺は、相手をATMまで行かせて、携帯電話で操作を指示するという手口にどうしても限定されてしまいます。ゆえに、一度「携帯電話を持っていない」と言ってみるのもひとつの手です。もし本物であれば、それ以外の方法を教えてくれるでしょうし、偽者ならここで大半はあきらめてしまうはずです。

お金に関して懐疑主義たれ、という「ノット・ファースト・コミットメント」の姿勢は、こうしたところでも生きてきます。