お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

融資保証金詐欺

別名「貸します詐欺」とも呼ばれる「融資保証金詐欺」は、オレオレ詐欺還付金詐欺架空請求詐欺と同様、「振り込め詐欺」の四つの型のひとつとして分類できます。「借金を一本化して、月々の支払いを安くできます」「低金利でお金を融資します」といった宣伝文句で融資を持ちかけてくるのですが、実際には融資するつもりなどなく、逆に手数料や保証料、登録料といった名目でお金を騙し取るという手口を使います。

数ある詐欺や悪徳商法のなかでも、私が特に許されるべきではないと感じるのが、この「融資保証金詐欺」のたぐいです。なぜならこの詐欺は、多重債務や自己破産といった理由によって、一般の金融機関や消費者金融からお金を借りることが叶わなくなった人をおもなターゲットとしているからです。言ってみれば、お金に関して本当に困っている人から、さらにお金を騙し取ろうとするもので、悪質極まりない詐欺です。

警視庁ホームページによる「融資保証金詐欺」の被害状況は、平成26年で591件、被害額は約9億1,494万円。平成20年の5,074件を皮切りに、件数は一気に三桁台にまで減少しましたが、一般の融資審査が以前より厳しくなったせいか、平成24年以降は微増傾向にあります。

この手の詐欺は、架空請求詐欺と同じく、基本は相手からの連絡待ち、つまり広義の「ファースト・コミットメント」待ちのパターンに分類されます。ただ、向こうから来る最初のアプローチが、架空請求のハガキや電子メールの代わりに、チラシや雑誌の広告、ダイレクトメールといった宣伝ツールになっただけの話です。

なかには、大手消費者金融会社の電話番号だけを書き換えた偽造ポスターを使うといった、手の込んだ手口も確認されていますが、そもそも広義の「ファースト・コミットメント」の段階で防ぐことが可能な詐欺でもあります。こちらがやるべきことも、「ノット・ファースト・コミットメント」という詐欺対策に従って、無視することです。

とくに、連絡先の電話番号が携帯電話の番号の場合、まず間違いなく詐欺だと思ってください。そもそもの知識として、正規の金融機関や消費者金融は、財務局か都道府県知事から貸金業登録番号をもらわないと営業できない決まりになっています。金融省の以下のリンク先(の一番下)から、金融会社の一覧を閲覧することが可能です。

消費者金融等について:金融庁

また、どんな名目であれ、融資のために事前に金銭を要求することはけっしてあり得ない、ということも、ぜひ知っておいてください。

もっとも、それ以前の問題として、この手の情報に目が向いてしまうということは、それだけ日々の生活において、お金に困った状態に陥ってしまっているということを意味します。私も過去に、弁護士を装った詐欺師の言葉に騙されて、いくつかの消費者金融からお金を借りては、そのお金を相手に渡していたといった状況に置かれていたことがありますが、そうした状況そのものがすでに普通ではない、という認識をもつべきかもしれません。

ちなみに、2012年のNTTデータ経営研究所調査によると、消費者金融を利用する目的として一番多いのは、「生活維持のための借入」で、36.5%となっています。ふだんの生活が維持できないからお金を借りる――それがはたして自己責任になるのか、それともセーフティーネットの機能不全ゆえのものなのかは一概に判断できないところがありますが、ともあれ借金で首が回らないという状況そのものを改善するため、消費生活センター法テラスなどの機関、あるいは弁護士などに相談することをお勧めします。