お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

ワンクリック詐欺

携帯電話やスマートフォン、パソコンなどの媒体でWebサイトにアクセスしたさい、何気に画像やリンクをクリックすることで「登録手続きが完了しました」等のメッセージを画面上に表示させ、あたかも何かの金銭契約が成立したかのように見せかける手口のことを「ワンクリック詐欺」と言います。たった一回のクリックで発生する詐欺行為、という意味が含まれており、パソコンやスマートフォン、インターネットに対する相手の無知につけこんで、金銭を騙し取ろうというのがこの手の詐欺の常套手段です。

じつはこのワンクリック詐欺は、先に取り上げた「架空請求詐欺」のWebバージョンです。アダルトサイトや出会い系サイトでの被害が多い、という点も非常によく似ています。そうしたサイトを見ていたことを知られるのを恐れて、ついつい料金を支払ってしまうという被害者の心理を巧みに突いた詐欺行為だと言えます。

架空請求詐欺のWebバージョンと書きましたが、それゆえに対策も架空請求詐欺のやり方を踏襲することができます。つまりこの手の詐欺もまた、相手側からの「ファースト・コミットメント」を得るための仕掛けなのです。

ゆえに、ワンクリック詐欺の唯一の対策もまた、「何もしない」の一手になります。Web管理業者に連絡するのは絶対に避けましょう。「個体識別番号を押さえた」「自宅や勤務先に請求に伺います」などの脅し文句が並んでいる点も、架空請求詐欺とよく似ていますが、IPアドレスやホスト名、携帯電話やスマートフォンの機種名や位置情報などから個人情報が漏れることはありませんし、個人情報を割り出すことは不可能です。

むしろ、そこから業者に連絡を入れる(コミットメントを与える)ことによって、名前や電話番号、メールアドレス等の情報が漏れてしまうことを恐れるべきです。

基本的な知識として、ワンクリックの契約については、「電子消費者契約による契約の無効」を主張することができます。これは、「電子消費者契約法」という法律に基づくもので、確認画面の設けられていない電子契約については、無効を主張できるというものです。

つまり、ワンクリック詐欺はこの法律に違反する契約方法というわけです。臆することなく「無視する」を貫きましょう。そしてそれ以前に、怪しげなサイトには訪問しない、安易に広告や画像をクリックしないことを徹底することが肝心です。 

ワンクリック詐欺については、基本的に架空請求詐欺と同じ対応が有効ですが、むしろ警戒すべきなのは、この手の詐欺がコンピュータ技術を用いて仕掛けられるものだという点です。

コンピュータ技術の進歩は日進月歩で、それゆえにこの手の詐欺行為についても、日々新たな手口が生まれているという状況です。特に2014年以降は、スマートフォンの急速な浸透とともに、ワンクリック詐欺関連の被害も増大し、相談件数が過去最多を記録したといいます。

これまでは、「年齢認証」ボタンや動画再生ボタンに偽装したりといった程度でしたが、最近ではスマートフォンのさまざまな機能と連動したワンクリック詐欺の手口が確認されています。カメラのシャッター音を鳴らして「写真を撮った」と脅す、アダルトサイト閲覧中にバイブレーション機能を動作させる、ポップアップ画面から電話発信画面が表示され、業者に電話がかかってしまう、ウイルスを仕込んだアプリケーションを知らないうちにダウンロードされ、メールアドレス等の情報が漏れてしまう等々、じつに多彩な手口が出てきています。

こうした機器に不慣れな方にとっては、不慣れであるがゆえに「ファースト・コミットメント」を知らず知らずに与えてしまうことがありえます。もし不安を覚えるようであれば、最寄りの消費生活センターに相談することも検討しましょう。