お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

サイドビジネス商法

「一日一時間の在宅作業で月10万稼げる」――最近ではインターネットの広告でも、こうした宣伝文句がよく目につくようになっていますが、この手の誘いは「サイドビジネス商法」と呼ばれる、悪徳商法の最初のアプローチである可能性が大きいです。

マルチ商法利殖商法と同じく、儲かる系的なセールストークで相手を釣るのですが、「サイドビジネス」という名称が象徴するように、勧めてくるのは副業です。つまり、すきま時間や在宅時などに、ごく簡単な作業をこなすだけで、多くの収入を得ることができるサイドビジネスを紹介します、というのがこの手の悪徳商法の常套句となっています。

もちろん、本当に簡単な作業で高収入を得られるのであればまったく問題ありませんし、至極まっとうなサイドビジネスを斡旋している会社もあるのですが、これまでの詐欺・悪徳商法の例に漏れず、こうした「うまい話」をよくよく調べていくと、サイドビジネスにつけこんだ高額商品やサービスの販売がセットになっていることが多々あります。

具体的には、サイドビジネスを斡旋するにさいして、独自の検定に合格する必要があると称して、高額の教材を購入させるというもの、簡単なデータ入力作業に必要だと称して、パソコン機器をはじめとする道具一式を買わせようとするもの、あるいは、データ入力のための顧客名簿やカタログを高額で売りつけようとするパターンなどがありますが、ようするに「高収入を得るための先行投資」という名目で、不当な売買を被害者に押しつけているのです。

先行投資と称してはいますが、検定にしろ技術資格にしろ、公認資格といったものではなく、業者が勝手に作成した試験であることが多く、しかもそう簡単に合格したり、技術取得したりできるようなやさしいものでないことがほとんどです。

仮に、合格にこぎつけたとしても、仕事の依頼が来ることはまずありません。あったとしても、最初のアプローチにあったような景気のいい話はなく、せいぜいお小遣い程度の稼ぎにしかならず、それもすぐに途切れてしまうことがほとんどです。

悪徳業者側としては、高額の商品やサービスを売りつけた時点で(より正確には、クーリング・オフ期間を超えた時点で)、目的は果たしたわけですから、当然の態度だといえます。もちろん、抗議を入れたところで、技術の未熟さのせいにされてしまうなど、まともに取り合ってはくれません。

もっとも、サイドビジネス商法は、架空請求詐欺や融資保証金詐欺などと同様、金銭に関する「うまい話」で釣ろうとしているがゆえに、アプローチが明確なパターンであるうえに、基本は相手からの連絡を待つ形の悪徳商法です。誰にでもできる作業で高収入などというのは、ふつうに考えればいかにも怪しい話であり、「ノット・ファースト・コミットメント」を貫くこと、つまりは「無視する」のは、それほど難しい話ではありません。

ですが、たとえばリストラで失業していたり、急な出費が必要となって金銭に余裕がなかったりと、精神的に追い詰められているような状況のときにかぎって、こうした「怪しい話」が魅力的に思えたりするものです。

もし、サイドビジネスを真剣に考えているのであれば、安易に連絡を入れる前に、充分な情報収集を心がけるようにしてください。業者の名前でインターネット検索をしてみて、怪しげな評判が上位に引っかかってくるようであれば、アプローチは避けたほうが無難です。

もちろん、新手の業者の場合は、当然検索にも引っかからないので、万全とは言えませんが、少なくとも仕事の斡旋の前に、何らかの形で金を支払わせようとするような場合は、まずサイドビジネス商法であることを疑ったほうがいいです。狭義の「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して、けっして購入しないようにしてください。