お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

「まず相談」という選択肢

私が詐欺に遭ったときは、けっきょくそれが最後まで詐欺であるということを認めることができず、刑事事件として警察が動き出すまですべて自分ひとりで抱え込んでしまっていたのですが、今にしてみれば、それがどれほど愚かな思考であったのかが身にしみてよく実感できます。

もし私がもっと早くに「詐欺」の可能性を疑い、誰かに相談をもちかけていれば、もしかしたら私の受けた詐欺被害額は、もっと少ないものとなっていたかもしれないのです。

これまで、「ノット・ファースト・コミットメント」という詐欺対策について紹介してきましたが、人間である以上、いつも完璧でいることはできませんし、どこかで油断したり、判断を間違えたりすることもありえます。

もし、あなたが詐欺や悪徳商法の被害に遭ったという自覚が少しでもあるなら、ひとりで考えたり悩んだりするのではなく、また泣き寝入りするのでもなく、まずは「相談する」という行為に出てください。

世の中には、詐欺や悪徳商法の被害に対して、適切なアドバイスを提供するための機関や組織が存在します。専門家である彼らに相談をもちかけ、アドバイスや助言をもらうことが、詐欺被害を最小限にするための最善手であることを心得ておいてください。

そしてこの「相談」というアプローチは、一分一秒でも早いほうがいいのは言うまでもありません。なぜなら、後で説明する「クーリング・オフ」の制度など、悪徳商法から消費者を守るための法律や制度には、たいてい「適用可能期間」というものが設けられていて、それを過ぎてしまうと代金を取り戻せなくなるからです。

また、「オレオレ詐欺」にしろ、「還付金詐欺」にしろ、いったん振り込んだお金を取り戻すためには、まず警察と金融機関に届け出て、相手の口座を凍結してもらうことが必要です。それが早ければ早いほどいい、というのは、考えるまでもありません。

では、じっさいに詐欺や悪徳商法の被害に遭ったとして、どこに相談するのがいいのでしょうか。

以前のエントリーで、「詐欺」と「悪徳商法」の違いを説明しましたが、この違いによって、相談先が決まると考えもらってまずは問題ありません。

「詐欺」であれば、相談先は「警察」になります。
悪徳商法」であれば、相談先は「消費生活センター」です。

ちなみに、先に挙げた15の事例を分類すると、以下のようになります。

【詐欺】→警察に相談(110番)
オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「ワンクリック詐欺」「フィッシング詐欺

悪徳商法】→消費生活センターに相談(188番)
「キャッチセールス」「マルチ商法」「アポイントメントセールス」「サイドビジネス商法」「利殖商法」「点検商法」「催眠商法」「送り付け商法」「資格商法

お金を騙し取られる被害者側からすれば、詐欺も悪徳商法も同じなのですが、詐欺はおもに刑事事件にかかわることであるのに対して、悪徳商法はおもに民法や商法上のことで、管轄の違いがあるという現実があります。相談するさいには、その点にだけ注意するようにしましょう。