お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

マルチ商法(対策編)

「ノット・ファースト・コミットメント」によるマルチ商法対策を語るうえで、前回のエントリーでは、まず「マルチ商法」とはどういう仕組みで成り立っているのかを説明しました。

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詐欺対策として、なぜマルチ商法の仕組みを説明したかと言えば、それは相手からの最初のアプローチが、あなたの友人や知人であることが圧倒的に多いからです。

マルチ商法そのものは、「商品販売」という名目があるので、たしかに違法ではありません。ですが、その商品の値段が違法に高く設定されていて、まともに商売していては売れないような代物です。ですから会員となった人は、とにかく新しい会員を増やすという方法で儲けるしかない状態にあります。

そこで、もっとも手っ取り早い方法として思いつくのは、とにかく自分の友人知人、親戚筋を軒並み誘って会員にしてしまおう、というものです。あるいは上の層の会員が、そうするように指導している可能性さえあります。

キャッチセールスの場合、最初のアプローチは対人ではありますが、基本的に相手は見知らぬ他人です。ですがマルチ商法の場合、自分となんらかの関係を築いている知り合いが、悪徳商法の最初の一手として接触してきます。そしてそれゆえに、キャッチセールスのようにひたすら「無視」を決め込むこと自体が難しいのです。もしその友人が、尊敬していたサークルや部活の先輩であったり、会社の元上司であったりするような場合はなおさらです。

ですが逆に、知り合いとふたりだけのときにそうした話を切り出してくれれば、まだやりやすいとも言えます。「誰でも簡単に儲かる」「絶対に損はしない」といった金銭がらみの話が出てくれば、その時点で「ノット・ファースト・コミットメント」を貫いて、絶対にその場で承諾の言葉を口にしないようにすればいいのです。そして、毅然とした態度でその場を立ち去るべきです。

もしかしたら、そうした態度をとることで、その友人や知人との関係は断ち切れてしまうかもしれません。ですが、ことマルチ商法にかんする限り、そうなることを恐れてはいけません。自分自身のためというのはもちろんですが、これはマルチ商法という悪徳商法に手を染めてしまった、その友人知人のためでもあります。何よりあなたのところできっぱりと断ることで、こうした手口の金儲けはうまくいかないのだ、と態度で示すことができるからです。

もっとも、マルチ商法も最近ではさまざまな手口が見いだされており、時には組織の幹部と思わしき人物を複数人連れてきていたり、あるいはマルチ商法の勧誘であることを隠してどこかの会場に呼び出し、キャッチセールスのような猛烈な勧誘や、まるで宗教じみた熱狂にさらされたりすることもあります。登場する幹部にしても、たとえば高級車に乗って登場したり、会場もいかにも豪華そうな場所だったりと、まるで大金持ちになることが約束されているかのような演出がなされることもしばしばです。

もしそうした場に連れて来られてしまっても、「ノット・ファースト・コミットメント」を貫くという姿勢に変わりはありません。絶対に承諾の言葉は口にせず、なんとしても会場から脱出することに徹してください。

ちなみに私も一度、かつての大学サークルの同期にそうした会場に連れて行かれた経験がありますが、そのときすでに詐欺被害に遭っていた私は、ただ「金がない」と断っても、「クレジットカードのローンを利用すればいい」と返されるのはわかっていたため、とっさに「今、いくつかのサラ金で金を借りている状態なんです」と、かつては本当だった嘘をついて、どうにかそこから出ることができました。