お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

利殖商法

前回の「サイドビジネス商法」でも書きましたが、悪徳商法のひとつであるこの「利殖商法」がいかにも使いがちな宣伝文句もまた、インターネット広告でよく見かけます。たとえば「私は株で月1,000万稼ぎました」とか、「これでダメならFXはやめろ」といったたぐいがそうなのですが、こうしたいかにもな「うまい話」を謳い文句に、投資を勧めてくるのが利殖商法の基本的な手口です。

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「高配当」「元本保証」「値上がり確実」といった単語を強調し、いかにも安全無難な投資のように話を持ちかけてくるのですが、じっさいには高いリスクがあることをあえて隠していることがほとんどです。下手に手を出せば、元本保証はおろか、投資した元本すら残らず、体のいい財布代わりにされてしまうのが関の山です。

それどころか、取引自体がされておらず、最初から現金を騙し取ることが目的で勧誘してくるようなパターンすらあります。というのも、本当に預けたお金が投資で使われているかどうか、確認することが困難な場合が多いからです。

先物取引やFX(外国為替証拠金取引)、不動産投資など、悪徳業者が勧めてくる投資の内容はさまざまですが、その手の仕事をしているような人でなければ、そもそもどんな仕組みで成り立っているのかも理解するのが難しい、というのが一般的です。

私も一度、そうした投資に関する本などで勉強していたこともあったのですが、理論だけわかってもどうしようもないな、というのが正直な感想でした。

投資の世界は、金でモノやサービスを買うのとは異なり、金で金を買うような取引です。自然とその内容は複雑怪奇なものとなってきます。悪徳業者は、そんな相手の専門知識の乏しさを巧みに利用してくるのです。

他には、消費者から集めた現金で何十倍もの取引を行なう「ロコ・ロンドン金取引」と称する証拠金取引、海外の事業に出資して高配当を約束させるもの、将来有望な会社の社債なども、利殖商法の手口として使われることがあります。

ところで、この利殖商法なのですが、とくにその勧誘方法に問題のある業者が多い、という問題点があります。

その問題点とは、とにかく勧誘の仕方が強引だということです。

ターゲットとなるのは中年以上の年代、とくに会社を定年退職し、退職金を手にしている高齢者なのですが、どうも名簿などの個人情報をあらかじめ掴んでいるらしく、自宅や会社に何度も電話をかけてきたり、あるいは自宅まで直接訪問してきたりすることもザラです。

ゆえに、こちらも「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底するという断固とした意思を示さなければなりません。あまりにしつこい勧誘、脅迫まがいの勧誘を受けるようであれば、躊躇なく警察の力を借りるようにしてください。

最初のアプローチが金銭絡み、という点では、他の詐欺や悪徳商法と比べてわかりやすいはずなのですが、長く続く低金利時代や政府の規制緩和の影響で、投資に対する興味が人びとのあいだで高まっているのも事実です。

それでなくとも、なかなか不況を脱することのできない現状を不安に思い、放っておいても目減りするなけなしの資本をなんとか維持したい、あるいは少しでも増やしたいと思うのは、「豊かでありたい」と願う私たちのあたりまえの心理です。

だからこそ、その資産の運用を真剣に考えるのであれば、自分でその仕組みを納得し、またそのメリットとリスクをきちんとわきまえたうえで、たとえ減っても自分の責任、というくらいの覚悟をもって取り組むようにしてください。