お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

クーリング・オフを利用する

クーリング・オフとは

悪徳商法に引っかかって、まんまと不要な商品を購入してしまった場合、まず最初に考えるべきなのは、「クーリング・オフ制度」を利用できるかどうか、ということです。

クーリング・オフとは、訪問販売や通信販売などの、消費者トラブルが起こりやすい取引について、おもに消費者を不当な契約から守るために業者側に課せられたルールのひとつで、「特定商取引法」という法律のなかに定められたものです。

これまで照会してきた悪徳商法の手口は、相手を通常でない心理に追い込むことで、巧みに「コミットメント」を引き出すというのが基本です。クーリング・オフとは、そんな状態での契約について、一定の期間を置いて頭をクールダウンさせたうえで、購入したモノやサービスが本当に自分にとって必要なのかどうかを考え直し、もし不要であると判断したなら、無条件で契約を解除してくれるという、消費者の心強い味方なのです。

クーリング・オフによって可能になることは、以下の3つとなります。

  1. 契約を無効にできる
  2. 違約金なしで代金を全額返済してもらえる
  3. 返品送料は業者負担

売買契約というのは、本来であれば民法において守られるべき決まりであり、そうおいそれと破ることのできないものなのですが、クーリング・オフというのは、条件さえ揃えばその原則をも捻じ曲げて、消費者側から一方的に契約を解除することができます。それだけでも相当に強力な制度であることが理解できると思います。

ですが、そんな強力な制度であるがゆえに、その適用にかんしても厳密なルールが設定されています。以下に、その条件を列記しておきます。

条件1:クーリング・オフ制度がある取引であること

クーリング・オフが可能かどうかの最初の判断は、その取引形態によって決まります。特定商取引法をはじめとする各種法律で、クーリング・オフが認められている取引とその適用期間が厳密に定められています。また互助会などで業者が独自にクーリング・オフを取り入れている場合もあります。

以下に、クーリング・オフが認められているおもな取引を挙げておきますが、基本的に消費者トラブルが多いもの、つまり悪徳商法でよく使われる取引については、クーリング・オフが適用されていることがほとんどです。

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条件2:クーリング・オフ可能期間内であること

さすがに何ヶ月も経過した取引を一方的に無効にできる、というのは、逆に業者が気の毒です。先ほどの表にもあるとおり、クーリング・オフが可能な期間が取引ごとに定められており、それを過ぎてしまうとクーリング・オフの適用が利かなくなってしまいます。

ちなみに、どのような形の取引であっても、最低でも8日はクーリング・オフの期間として定められることになっています。これより長いものはあっても、短いということはありません。

ちなみに、クーリング・オフの申し出は郵便で行ないますが、そのさいに郵便の消印がクーリング・オフ可能期間を計る目安となるため、業者に届くのが可能期間を超えていたとしても問題がない、ということをつけ加えておきます。

では、可能期間の開始日がいつのなるかといえば、それは「法定の契約書面の交付された日」となります。たとえば4月1日に交付されたとすれば、その日を含む8日間、つまり4月8日までがクーリング・オフ可能期間となります。

なので、たとえば業者が契約書面を渡してくれなかったような場合には、基本的に期間が過ぎていてもクーリング・オフが可能ということになります。

他にもこの可能期間については、契約期間が長いものに対して、クーリング・オフ可能期間を過ぎていても「中途解約」が可能であるとか、業者によるクーリング・オフの妨害があったさいには、その延長が認められるなど、ケースによっていろいろな例外があるので、詳細については消費生活センターに問い合わせをしてみてください。

条件3:商品やサービスが政令指定されているもの

クーリング・オフ制度は、ありとあらゆる商品やサービスに適用できるわけではありません。最初に説明した取引形態、つまり業者の販売方法によって、クーリング・オフができるものとできないものがあったように、商品やサービスについても、適用できるものとできないものが厳密に定められています。

具体的には、「はじめてのクーリングオフ」というWebサイトに掲載されているものが、おそらく一番わかりやすいかと思います。

特定商取引法 指定商品・権利・役務一覧表

もし、自分が契約してしまった商品やサービスが、クーリング・オフできるのかどうかで迷っているのであれば、とりあえず消費生活センターに相談する、というのが手っ取り早いかもしれません。

クーリング・オフが適用されない条件

最後に、クーリング・オフができない場合を列挙しておきます。

  • クーリング・オフの期間が経過した
  • 商品がクーリング・オフの対象ではない
  • 「政令指定された消耗品」を自らの意思で使用、消費した
  • 信販売で購入した
  • 個人としてではなく、事業者として契約した
  • 3,000円未満の現金取引
  • 自分で業者を自宅に呼んで取引した
  • 自分で販売業者の営業所などに出向いて契約した

基本的に、これらの項目にあてはまる場合はクーリング・オフの適用外となりますので、注意が必要です。