お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

業者がクーリング・オフに応じない場合

もし、売買契約した相手が悪徳業者である場合、クーリング・オフの書面を郵送しても、なかなか返金に応じないことがあります。それどころか、なんだかんだ難癖をつけてきたり、逆にクーリング・オフの取り消しをするよう脅されたりすることもあるのは、前回のエントリーでも書いたとおりです。

sagi-zero.hatenablog.com

この場合は、やはり法律の専門家に代行を依頼するというのが最善手ではあるのですが、速やかなクーリング・オフをうながすための制度も用意されてはいます。ひとつは「少額訴訟制度」、もうひとつは「支払督促制度」で、いずれも簡易裁判所に書類を提出することで行なうことになります。

少額訴訟制度は、金銭支払いの請求が60万円以下のものが対象となる制度で、手続きが非常に簡単で、費用も安く、また1回の審理で判決が出るという迅速さが魅力的なのですが、いかんせんこの制度を利用するには、相手方の承諾が必要であったり(拒否されると、通常の訴訟に移行します)、相手がすでに雲隠れして、住所がわからなくなっている場合は利用できなかったりと、デメリットもけっこうあります。

支払督促制度については、金銭や有価証券の給付を目的とした制度で、請求金額の制限はありません。通常の訴訟手数料の半額程度の費用で済み、届出も簡単、期間については、早ければ1ヶ月程度で強制執行がなされるため、なかなか便利な制度なのですが、これも相手側が異議申し立てをした場合は通常の裁判に移行してしまうなどのデメリットがあります。

こうして見ると、条件さえ満たせば、業者の意向など完全に無視して「一方的」に契約を解除できるという「クーリング・オフ制度」が、いかに強力な制度であるかがよくわかります。やはり個人的には、法テラス等に相談したうえで、法律の専門家を斡旋してもらうことをお勧めします。

ちなみに、このふたつの制度を覚えておくことは、じつは詐欺被害から事前に身を守ることにもつながります。そう、「架空請求詐欺」のエントリーでも少し書いたのですが、これらの制度は、詐欺師たちがお金を騙し取る手段としても使われることがあるのです。

sagi-zero.hatenablog.com

「ノット・ファースト・コミットメント」の数少ない例外として紹介した、少額訴訟制度や支払督促制度を悪用した詐欺について、なぜこちらから「異議申し立て」という「コミットメント」を与える必要があるのか、理解できたことと思います。ようするに、こちらにとってのデメリットは、向こうにとってのデメリットでもある、ということです。