お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

フードファディズムについて

以前、テレビ番組で「納豆」が体にいいとか、「バナナ」で簡単にダイエットができると放送されたせいで、一時期納豆やバナナが品薄になったことがあります。

私はどちらも定期的に食べていただけに、それまで普通に売られていたものが急に品切れになって、ずいぶんと困惑したものですが、こうした食べ物やそれに含まれる栄養素が人間の体にもたらす効果について、サプリメントをはじめとする食品の売上をあげるために過剰に宣伝されているのではないか、ということは、以前から感じていたことでした。

togetter.com

 「フードファディズム」という言葉は、上のtogetterのまとめ記事を見てはじめて知ったのですが、以前に納豆やバナナが品切れになるほど売れてしまった背景には、この「フードファディズム」があったのだなあ、と妙に納得しました。

フードファディズム」とは、ある特定の食品や栄養が人間の健康や病気に与える影響を、過大に評価したり信じたりすることです。そして、それを煽るような宣伝や広告が世の中には氾濫していることが、上のまとめ記事から見て取ることができます。

じっさい、そうした広告は、それこそインターネットの世界でもあちこちで見かけるものです。

学術論文の都合のいい部分だけを抜き出す、摂取する量についてあえて触れない、効果の部分だけを過剰に煽り、リスクを言わないなど、見ているとけっこうひどいものがあります。なかでも、

「『コラーゲン』飲むと肌がうるおう?」
メーカーの回答「飲んでいただいて、喉をうるおしていただきます。」

 

というのが際立っていますが、こうした宣伝や広告については、その効果や効能について、薬事法に触れるような嘘がなければ罰されることもないため、いかにもそれらしいイメージを語ることで、それを見る人が勝手に誤解するよう、巧みに誘導している部分があります。

人が何を信じて商品を購入するのかはその人の自由なのですが、私が心配しているのは、そうした「フードファディズム」に影響されやすい人たちが、じつは詐欺や悪徳商法の手口に対しても安易に信じてしまい、結果として被害に遭うのではないか、ということです。

マイクル・シャーマー氏の『なぜ人はニセ科学を信じるのか』という本には、まさにそのタイトルにあるとおり、なぜ人が胡散臭いニセ科学を信じてしまうのかが、数々の事例を挙げて紹介されているのですが、けっきょくのところ一番の理由として挙げているのが、

希望は決して潰えない

 

という言葉です。

これは言い換えるなら、ニセ科学がもたらす恩恵を信じたいという強い信念がある、ということです。納豆を食べれば血液がサラサラになる、バナナで簡単にダイエットができる――高血圧や体重の増加にずっと悩まされてきた人たちにとって、これらの宣伝文句は、藁にも縋る思いを引き出しているのかもしれないのです。

ですが、それは安易な「コミットメント」を相手に与えるという、詐欺や悪徳商法に騙される典型的な一歩です。

できることなら、この「フードファディズム」という言葉が一般の消費者に少しでも浸透し、健康食品を購入するさいには懐疑主義を発動して、その効能が本当に正しいのかどうか、あるいはどれだけのお金をかけるべきなのか、といったことを、一度立ち止まって考えるようになってほしいと思わずにはいられません。