お金を騙し取られない、たったひとつの心構え

「ノット・ファースト・コミットメント」を徹底して詐欺・悪徳商法被害ゼロを目指す

振り込め詐欺救済法

万が一、悪徳商法に騙されて売買契約を結んでしまったとしても、消費者側には「クーリング・オフ制度」という心強い制度があります。条件さえ満たしていれば、消費者側から一方的に契約を解除できるという強力な制度で、しかも悪徳商法の取引のほとんどが、この制度の適用範囲内になっています。

たとえばクーリング・オフは、自分で販売業者の営業所などに出向いて契約した場合には利用できないことになっています。アポイントメントセールスは、相手を呼び出して契約させるタイプの悪徳商法で、この条件にあてはまってしまうのですが、アポイントメントセールスそのものが「訪問販売」に該当するため、ちゃんとクーリング・オフの対象として認められています。

またクーリング・オフは、相手側の販売方法に少しでも問題があると証明ができれば、クーリング・オフの適用を認められることがあり、そういう意味で悪徳商法対策としての側面が強い制度でもあります。

さて、「悪徳商法」については、救済の方法があることはわかりました。では「詐欺」についてはどうでしょうか。「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」、「ワンクリック詐欺」なども、被害に遭えば深刻な問題になることは、悪徳商法と同じです。もし似たような救済措置があるなら、これほど心強いものはありません。

じつは、クーリング・オフほど強力ではありませんが、詐欺被害者の救済を視野に入れた法律が、平成20年6月に施行されました。それが「振り込め詐欺救済法」、正式には「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」と呼ばれる法律です。

この正式名称を見て、なんとなく想像できるところもあるかと思いますが、振り込め詐欺救済法とは、振り込め詐欺などの犯罪行為に利用された口座を金融機関が凍結し、口座に残った残高を犯罪被害者に対して、被害回復分配金として返還する手続きを定めた法律です。

つまり、お金を振り込んだ後に、それが詐欺であることがわかった場合、振込先の口座にお金が残っていれば、被害金額を請求、返還してもらえる可能性がある、ということです。

私が詐欺の被害に遭ったときは、当然このような法は定められておらず、もし詐欺の被害金額を取り戻そうとしても、民事で裁判を起こすしかなく、しかも相手にお金がなければそれもままならない、という状況でした。

ようするに、騙し取られたお金は戻ってこない、というのが一般的だったのです。それから比べれば、この法律の施行は大きな進展だといえます。

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もちろん、口座にお金が残っていなければ、返還することはかないません。また、詐欺師側もそのことを承知していて、できるだけ素早く口座から現金を引きおろすことも予想されますので、もし詐欺に遭ったことに気づいたら、一刻も早く警察と金融機関に連絡し、振り込んでしまった口座の利用停止を求めてください。

振り込め詐欺救済法の申請は、振込先の金融機関に対して行ないます。所定の「申請書」と「本人確認資料(免許書や住民票などのコピー)」、「振込みを証明する資料(預金通帳のコピーや領収書など)」を振込先の金融機関に持参、あるいは郵送して提出します。「申請書」については、最寄りの金融機関で請求できるほか、預金保険機構金融庁のWebサイトからも資料をダウンロードできます。その後必要な手続きを経て、申請者に分配金が支払われることになります。

もし、詐欺被害に遭ってから期間が経っていたとしても、絶対に被害届を出すべきです。詐欺師たちは、似たような詐欺行為を別の人に対して継続中かもしれませんし、また犯人が捕まった場合に、刑を軽くしてもらいたいがために、騙し取った金額の弁償を申し出ることも、ありえないとは言い切れません。

また、この法律は、「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」だけでなく、先に紹介した「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「ワンクリック詐欺」「フィッシング詐欺」などについても、適用される可能性があります。

ともあれ、この法律によって、騙し取られたお金が戻ってくる可能性が上がったことだけは確かです。詐欺被害に遭った場合は、とにかく速やかに被害届を出すと同時に、警察や金融機関に「振り込め詐欺救済法」の適用ができないかを確認するのが鉄則です。